米企業、絶滅したオオカミを「ある意味復活」させることに成功?

2025年4月29日
タグ: 野生生物
遺伝子を編集されて生まれたオオカミ。「ロムルス」と「レムス」と名付けられた[二匹は2024年10月1日に誕生、生後1カ月時](C)Colossal Biosciences/REUTERS.
米テキサス州ダラスに拠点を置くコロッサル・バイオサイエンス社が、絶滅したダイアウルフを「復活」させたと発表した。化石から抽出した古代DNAをもとに遺伝子を編集した結果、真っ白な毛皮を持つオオカミの子が3匹の生まれたという。ただし、専門家はこの主張に対して慎重な見解を示している。

[ワシントン発/ロイター]ダイアウルフは、最後の氷河期に生きたオオカミの仲間だ。現存の生物ではハイイロオオカミに一番近く、現生のオオカミよりもがっしりとした体格と頑丈な頭蓋骨を持っていたことで知られる。アメリカ大陸で最も手ごわい捕食者のひとつだったと考えられているが、多くの大型哺乳類と同じく、最後の氷河期の終わりに絶滅した。

 それから約1万3000年経った今、コロッサル・バイオサイエンス社はダイアウルフを「復活」させた。同社は遺伝子を編集して生まれた3匹の子をダイアウルフであると主張し、世界で初めて絶滅から復活した種だと言及している。さらに、こうした技術は、DNAが残されている他の絶滅種にも応用できると述べている。

 しかし、外部の専門家は至って懐疑的だ。これらの個体はダイアウルフというより、あくまで「ダイアウルフの遺伝情報を使って遺伝子組み換えが行われたハイイロオオカミ」に過ぎないと指摘される。

 コロッサル・バイオサイエンスの研究者らは、ダイアウルフを「復活」させるため、2匹のダイアウルフの化石から古代DNAを抽出した。使ったのは、オハイオ州のシェリダンピットから出土した約1万3000年前の歯の化石と、アイダホ州アメリカンフォールズで出土した約7万2000年前の内耳骨の化石。この素材をもとに、ハイイロオオカミの遺伝子20個を編集し、ハイイロオオカミの細胞を「ダイアウルフ化」させた。そしてクローンを作製する方法で、編集済みの細胞から胚を作り、イヌの代理母に移植した。こうして3匹のオオカミは、それぞれ別の代理母から生まれた。

テキサス州北部の施設でミルクを飲む(生後15日)(C)Colossal Biosciences/REUTERS

 子オオカミは、オス2匹とメス1匹が生まれている。

カテゴリ: 医療・サイエンス
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