
[ワシントン発/ロイター]ダイアウルフは、最後の氷河期に生きたオオカミの仲間だ。現存の生物ではハイイロオオカミに一番近く、現生のオオカミよりもがっしりとした体格と頑丈な頭蓋骨を持っていたことで知られる。アメリカ大陸で最も手ごわい捕食者のひとつだったと考えられているが、多くの大型哺乳類と同じく、最後の氷河期の終わりに絶滅した。
それから約1万3000年経った今、コロッサル・バイオサイエンス社はダイアウルフを「復活」させた。同社は遺伝子を編集して生まれた3匹の子をダイアウルフであると主張し、世界で初めて絶滅から復活した種だと言及している。さらに、こうした技術は、DNAが残されている他の絶滅種にも応用できると述べている。
しかし、外部の専門家は至って懐疑的だ。これらの個体はダイアウルフというより、あくまで「ダイアウルフの遺伝情報を使って遺伝子組み換えが行われたハイイロオオカミ」に過ぎないと指摘される。
コロッサル・バイオサイエンスの研究者らは、ダイアウルフを「復活」させるため、2匹のダイアウルフの化石から古代DNAを抽出した。使ったのは、オハイオ州のシェリダンピットから出土した約1万3000年前の歯の化石と、アイダホ州アメリカンフォールズで出土した約7万2000年前の内耳骨の化石。この素材をもとに、ハイイロオオカミの遺伝子20個を編集し、ハイイロオオカミの細胞を「ダイアウルフ化」させた。そしてクローンを作製する方法で、編集済みの細胞から胚を作り、イヌの代理母に移植した。こうして3匹のオオカミは、それぞれ別の代理母から生まれた。

子オオカミは、オス2匹とメス1匹が生まれている。

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