Weekly北朝鮮『労働新聞』
Weekly北朝鮮『労働新聞』 (134)

日米韓の軍事演習を非難、米特殊部隊「北朝鮮上陸失敗」報道には無反応(2025年9月14日~9月20日)

執筆者:礒﨑敦仁 2025年9月22日
タグ: 北朝鮮 金正恩
エリア: アジア
無人攻撃機などの開発を現地指導した金正恩国務委員(左)[2025年9月18日、場所は非公開](C)EPA=時事
15日付『労働新聞』は、米韓机上演習「アイアンメイス」と日米韓共同訓練「フリーダム・エッジ」の実施を非難する2つの談話を並べて掲載した。米紙ニューヨークタイムズが今月5日に報道した、米海軍特殊部隊が2019年初めに北朝鮮上陸を試みて失敗したとの情報には、現時点で反応していない。【『労働新聞』注目記事を毎週解読】

 9月19日付は、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が新義州(シニジュ)温室総合農場の建設現場を現地指導したことについて第1面で報じた。「国境地域を現代性と独創性、民族性が具現された発展的な地域に変貌させようとする」金正恩の構想に基づき、鴨緑江の中洲である威化島(ウィファド)地区には温室、野菜加工工場、貯蔵施設、研究拠点のほか住宅などを含む「大農場都市」が建設中である。

 金正恩は、建設部隊の将兵や青年たちを褒め称え、「毎年襲う洪水によって不毛の地とされてきたこの島が地方経済の急進的な発展と地域人民の物質生活の向上を主導する潜在力がとても大きい『宝の島』になった」と満足の意を表明した。来年初めに開催予定の第9回朝鮮労働党大会で成果が誇示されることになる。

 第2面には、金正恩が「無人航空技術連合体」の事業を指導したとの記事が掲載された。李炳哲(リ・ビョンチョル)党中央委員会軍需政策担当総顧問らが同行した。金正恩は、戦術無人攻撃機「金星(クムソン)」などの性能実験に対して大きな満足の意を表明し、「この分野の核心技術の高度化と無人武力装備システムの人工知能及び作戦能力の高度化」が兵器近代化建設における最優先の重要課題だと述べた。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
礒﨑敦仁(いそざきあつひと) 慶應義塾大学教授。専門は北朝鮮政治外交。1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員など歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、『北朝鮮を読み解く』(時事通信社)、共著・編著に『最新版北朝鮮入門』(東洋経済新報社)、『北朝鮮を解剖する』(慶應義塾大学出版会)など。
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