Weekly北朝鮮『労働新聞』
Weekly北朝鮮『労働新聞』 (150)

日本の「極右執権勢力」による安保3文書改定の動きを批判(2026年1月11日~2026年1月17日)

執筆者:礒﨑敦仁 2026年1月19日
タグ: 北朝鮮 金正恩
エリア: アジア
韓国に対する厳しい言葉は、李在明政権から大幅譲歩を引き出すための駆け引きかもしれない[昨秋、北京で開かれたレセプションに参加する金与正氏=2025年09月03日、中国・北京](C)AFP=時事
11日付の『労働新聞』に掲載された朝鮮中央通信社論評は、日本の現政権が憲法改正など「戦争国家、侵略国家」への道を制度化しようとしていると批判した。金与正の13日の談話では韓国による「主権侵害挑発」を非難した。中国の習近平国家主席に言及したのは今年に入ってから一度だけで、中朝間にいまだ溝があることを窺わせる。【『労働新聞』注目記事を毎週解読】

 17日付は、社会主義愛国青年同盟創立80周年記念大会が平壌(ピョンヤン)の金日成(キム・イルソン)競技場で開催され、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が演説したことについて報じた。青年組織のイベントにもかかわらず、金正恩の娘は不参加であった。

 社会主義愛国青年同盟は、ソ連共産党の青年組織コムソモールに倣って1946年1月に設立された朝鮮民主青年同盟を前身とする。金日成政権下の1964年に朝鮮社会主義労働青年同盟(社労青)、金正日(キム・ジョンイル)政権下の1996年に金日成社会主義青年同盟、さらに金正恩政権下では2016年に金日成・金正日主義青年同盟、2021年に現在の名称へと変更された。

 11日付は、金正恩が平壌市和盛(ファソン)地区の第4段階建設事業を現地で指導したことについて2ページかけて報じた。朝鮮労働党中央委員会第8期第11回全員会議で決定された同地区の1万世帯住宅建設は、総工事量の99%段階にあり、仕上げ作業が行われているという。

 同日付第6面には、「新軍国主義の終着点は『強い日本』ではなく滅びた日本である」と題した朝鮮中央通信社論評が掲載された。日本の「極右執権勢力」が安保3文書の改定を検討していることに対して、「日本は『平和国家』のベールさえ完全に脱ぎ捨てて戦争国家、侵略国家への進化を制度化、国策化する道に入ろうとしている」と批判するものであった。

「安倍政権」の名を2回出して国家安全保障戦略などを非難する一方、高市早苗総理の名は出さず、「現政権は発足初期から以前の政権がいまだ実現できなかった憲法改正をはじめとする極右政治勢力の『宿願』を実現するために『猛活躍』している」などと評された。日本が「核保有国になろうと企んでいる」ことは看過できないとし、「新軍国主義」によって日本が得るものは完全な破滅だけだとの主張が展開された。

「中国の習近平主席」から「中国主席の習近平」へ

 15日付第2面には、不定期連載の「政治用語解説」コーナーで「社会主義政権」が取り上げられたほか、第6面には「人間性を抹殺する毒素:西側式の民主主義」と題する論評が掲載された。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
礒﨑敦仁(いそざきあつひと) 慶應義塾大学教授。専門は北朝鮮政治外交。1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員など歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、『北朝鮮を読み解く』(時事通信社)、共著・編著に『最新版北朝鮮入門』(東洋経済新報社)、『北朝鮮を解剖する』(慶應義塾大学出版会)など。
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