ウクライナ第3の都市、黒海に面したオデッサを2025年7~8月に訪ねた。2022年の全面侵攻以降では3度目となる。前回は極寒の2025年2月で、街路は閑散としていたが、今回は夏の盛りであり、街路樹に覆われた中心街では若者や家族連れが散策を楽しんでいる。中心街にいる限り、毎日のように鳴り響く空襲警報と時折飛来するミサイルやドローンを除いて、戦争の影をあまり感じない。
しかし、そう見えるのは、こちらの感度が鈍いからだろう。実際には、戦争は人々の生活に、確実に影を落としている。
攻撃を受けても親ロ派
ウクライナ公共放送『ススピリネ』のオデッサ支局を訪ねた。『ススピリネ』は日本のNHKにあたるメディアで、各州都に支局を持つ。85人前後のスタッフを抱えるオデッサ支局は中でも大規模な拠点で、地元ニュースのフォローや独自のドキュメンタリーの制作に取り組むほか、ここから発信する全国番組の枠も週1回あるという。
「攻撃がある時は地下のシェルターに全員避難します。ただ、シェルターは第二次大戦中の避難壕のようなところで、良い音質での発信ができません。だから、生放送の途中に避難しなければならない場合、発信元を切り替えてキーウのスタジオに任せるのです」
ラジオ編集者のゲンナジー・ステパネンコ(59)が説明した。
国際文化都市として栄えたオデッサには、数々の名建築が残る。地元政治家やウクライナ政府は2023年、この街並みを守るための緊急措置として、国連教育科学文化機関(ユネスコ)と協力して旧市街一帯の「オデッサ歴史地区」を世界遺産に登録した。しかし、ロシアはその後も攻撃の手を緩めない。数々の文化財が被害に遭っているのは、2025年3月22日付本欄『第3部 ミサイルの下で(3) オデッサ、狙われた世界遺産』で報告した通りである。
その後、状況はどうなったか。
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