中印が進めるアフリカ研究連合?

執筆者:平野克己 2010年10月8日
エリア: アフリカ

 先日、ある科研費プロジェクト(文科省の助成事業)の会合に参加した。経済史家たちの集まりである。収穫の多い会合だったが、そのひとつはODAの歴史的淵源であった。
 戦後しばらく、援助の思想や定義が各国バラバラだったことについては、以前にもこの欄で触れ、拙著『アフリカ問題:開発と援助の世界史』でも論じたが、この会合でインド研究者から「1950年代末に対インド国際借款団が作られたとき、アメリカが示した借款条件が、その後ODAの定義になった」という話を聞いて、私のなかですべてのつながりがついた。アメリカがいつ、どこで、なんのために援助論議の主導権をとったのかが具象絵画になったので、ハタと膝を打つ感じだった。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
平野克己(ひらのかつみ) 1956年生れ。早稲田大学政治経済学部卒、同大学院経済研究科修了。スーダンで地域研究を開始し、外務省専門調査員(在ジンバブエ大使館)、笹川平和財団プログラムオフィサーを経てアジア経済研究所に入所。在ヨハネスブルク海外調査員(ウィットウォータースランド大学客員研究員)、JETRO(日本貿易振興機構)ヨハネスブルクセンター所長、地域研究センター長などを経て、2015年から理事。『経済大陸アフリカ:資源、食糧問題から開発政策まで』 (中公新書)のほか、『アフリカ問題――開発と援助の世界史』(日本評論社)、『南アフリカの衝撃』(日本経済新聞出版社)など著書多数。2011年、同志社大学より博士号(グローバル社会研究)。
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