紛争研究、平和研究

執筆者:平野克己 2010年10月15日
エリア: アフリカ

 6年前に南アフリカに赴任したとき、私の後任としてアジア経済研究所(通称アジ研)のアフリカ研究グループ長を引き継いでくれたのが、武内進一君だった。現在は、請われてJICA研究所に出向している。
 武内君は東京外大フランス語学科の出身で、チュニジアの日本大使館で派遣員として働いたあとアジ研に入り、研究者としてのキャリアを仏語圏アフリカの農業農村研究から始めた。しかし、最初の研究対象国に選んだザイール(現コンゴ民主共和国)が政情不安に陥り、かわりに赴任したコンゴ共和国では内戦に巻き込まれた。このときの過酷な実体験が彼を紛争研究に向かわしめるのである。アフリカ農産物流通に関する論文を仕上げてから彼は、一転、1994年に起こったルワンダ大虐殺を研究テーマにすえた。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
平野克己(ひらのかつみ) 1956年生れ。早稲田大学政治経済学部卒、同大学院経済研究科修了。スーダンで地域研究を開始し、外務省専門調査員(在ジンバブエ大使館)、笹川平和財団プログラムオフィサーを経てアジア経済研究所に入所。在ヨハネスブルク海外調査員(ウィットウォータースランド大学客員研究員)、JETRO(日本貿易振興機構)ヨハネスブルクセンター所長、地域研究センター長などを経て、2015年から理事。『経済大陸アフリカ:資源、食糧問題から開発政策まで』 (中公新書)のほか、『アフリカ問題――開発と援助の世界史』(日本評論社)、『南アフリカの衝撃』(日本経済新聞出版社)など著書多数。2011年、同志社大学より博士号(グローバル社会研究)。
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