繁栄を謳歌する米国の死角

執筆者:名越健郎 2000年8月号
エリア: 北米

冷戦後の軍事的優位、史上最長の好景気――。繁栄を極める米国で静かに「レーガン回顧現象」が広がっている。勃然と起こったレーガン時代への追憶には、米国社会が抱き始めた未来への漠然とした不安が覗く。[ワシントン発]アメリカの戦後史の命運を決する分岐点になった場所があるとすれば、テキサス州ダラスのデーリー広場と首都ワシントンのワシントン・ヒルトン・ホテルが挙げられよう。前者は一九六三年十一月二十二日のケネディ大統領暗殺現場、後者は八一年三月三十日のレーガン大統領銃撃現場である。二つの現職大統領狙撃事件は、その後の米国の政治・経済・社会の趨勢に重大な影響を与えた。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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