マイクロソフトの五百億ドルは「お金」か「資本」か

執筆者:喜文康隆 2003年9月号

「その特定の努力を喚起するに必要なはずのものよりもはるかに多くの豪華な賞品が、ごく少数の勝利者のふところにころがり込む」(シュムペーター『資本主義・社会主義・民主主義』)     * マイクロソフトの経営が歴史的な転機を迎えている。今年一月、二〇〇三年度第2四半期(二〇〇二年十―十二月)決算の際に創業以来はじめての現金配当の実施を決定したのに続いて、七月には従業員に対するストック・オプション制度の廃止を発表した。 株式新規公開(IPO=Initial Public Offering)による創業者利潤、無配当政策による積極的な投資と高株価政策、そして従業員に対するインセンティブとしてのストック・オプション――これらは一九九〇年代の米ハイテク成長企業の三種の神器だった。マイクロソフトの路線変更は、同社だけに止まらず、世界的に大企業の経営モデルの転換点になる可能性さえある。

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