「新たなプラザ合意」という幻想

九月のドバイG7合意にマクロ政策上の整合性など存在しない。ドル安はいずれ秩序を失い、世界の金融・為替市場は暴風圏に突入する。 中東の湾岸諸国のひとつ、アラブ首長国連邦ドバイは百パーセント近い湿度がありながら、一年に数日しか雨が降らない。太陽は朦朧たる空気の中に消えてゆく。多くのインド人を雇う典型的なアラブの富裕国だが、旧宗主国・英国の流儀を引き継いだのだろうか普段は警察官など表に出ない。 そのドバイで九月下旬に警察官がそこかしこに姿を現した。国際通貨基金(IMF)・世銀総会が開かれたからだが、日本にとってドバイで九月二十日に開かれた七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)から、蒸し暑く憂鬱な為替の季節が始まった。共同声明にうたった「柔軟な為替相場変動」という表現にすべてが尽きている。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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