クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?

レーガンとサダム 妙な関係

執筆者:徳岡孝夫 2004年8月号
エリア: 中東 北米

 俗にいう「信じられない光景」とは、あれを指すのだろう。一九七二年二月、リチャード・ニクソン米大統領は北京に行き、毛沢東と膝を交えて談笑した。場所は毛の自宅の書斎。 米国は当時「中国の首都は台北にある」と言っていた。中国はアメリカなんて「張り子のトラ」だと言っていた。そういう倶に天を戴かない両国の首魁が、親しく語り合った。世界は目を疑った。 ニクソンが「私は反共主義者と呼ばれている」と、まず口を切ると、毛は笑って「反共主義者の方が物分かりがいい。話が通じる」と答えた。世界を舞台に、ニクソンは中国をソ連から奪うという大曲芸を演じた。その後まもなく、彼はベトナム戦争を止めた。

カテゴリ: カルチャー
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