日本は災害列島だ。われわれの先祖は、大きな災異を乗りこえ、たくましく生き抜いてきた。日本の歴史は、災害との戦いの連続でもあった。
大災害の痕跡は、いたる場所に残される。たとえば、今から約7300年前、鬼界カルデラ(鹿児島県)で想像を絶する噴火が起きていた。火山灰は東北地方まで届き、西日本の縄文集落は、壊滅状態に陥っている。
縄文人と言えば、東国を思い浮かべるが、南部九州を中心に、西日本にも、豊かな縄文文化が華開いていた。それが、噴火で霧散してしまったのだ。西日本の人口が回復するのは、縄文後期のこととなる。愛知県付近から東側が縄文文化を色濃く残しているとされるのは、一般的に言われている植生の差だけでなく、鬼界カルデラの大噴火の影響もあったかもしれない。

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