国際人のための日本古代史
国際人のための日本古代史 (15)

愚かな王は人々を不幸にする

執筆者:関裕二 2011年5月4日
タグ: 日本

 才覚もなく無責任な人間が国家のトップに立つことは、けっして珍しいことではない。古代にも、愚かな王が何人も出現していた。たとえば5世紀末の第25代武烈天皇は、あまりの暴虐ぶりに、「大(はなは)だ悪(あ)しくまします天皇なり」と民衆に罵られている。
 ただしこの暴君、実在したかどうか、はっきりとしない。次に即位した継体天皇の存在を美化するために、『日本書紀』編者がわざわざ「悪い王」を登場させたのではないか、と疑われている。
 それよりも、興味深い王の話をしよう。日本ではなく朝鮮半島の出来事だ。百済国最後の王・豊璋(ほうしょう、余豊)で、なぜかこの人物、日本の現首相に、どことなく似ている。
 7世紀の百済は日本の軍事力をあてにしていたから、同盟関係を強化するために、王子・豊璋を人質として差し出していた。来日したのは、舒明3年(631)のことだ。ただし、こののち百済は徐々に国力を落とし、唐に攻められ滅亡してしまう。そこで百済の名将・鬼室福信(きしつふくしん)は、日本から豊璋を呼びもどし、王に立て、国家再興の狼煙を上げたのである。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
関裕二 1959年千葉県生れ。仏教美術に魅せられ日本古代史を研究。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。著書に『聖徳太子は蘇我入鹿である』(ワニ文庫)、『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』(以上、新潮文庫)、『伊勢神宮の暗号』(講談社)、『天皇名の暗号』(芸文社)、『「死の国」熊野と巡礼の道: 古代史謎解き紀行』 (新潮文庫)など多数。最新刊に『神武天皇 vs. 卑弥呼 ヤマト建国を推理する』(新潮新書)、『古代日本人と朝鮮半島』(PHP文庫)、『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪: 古代史謎解き紀行』(新潮文庫)がある。
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