リビアのカダフィ政権を打倒した今度の作戦。欧米の報道を総合すると、欧米の情報機関と反政府勢力「国民評議会」が合同で作成したシナリオ通りの作戦だったようだ。
カダフィ政権の最後もいよいよか、と思わせた報道は8月16日。パネッタ米国防長官(前中央情報局=CIA=長官)の「カダフィ政権の最後が近づいている」という発言だ。同政権のアブドラ公安相がエジプトに亡命した翌日のことだった。
そして20日。英紙テレグラフによると、「人魚の夜明け作戦」という名称のこの作戦は首都トリポリの中心部、サリム通りにあるベンナビ・モスクから開始されたという。
最終段階の首都での攻防は、英紙サンデー・タイムズが報じた通り、反政府勢力が首都の外から中に攻め込むという形ではなかった。同紙が入手した70ページの機密文書は①反政府勢力がトリポリに進軍する可能性は低い②トリポリの住民がカダフィ政権に対して蜂起する可能性が高い――と判断していた。
このため、トリポリおよび周辺の地域で計8660人の国民評議会支持者を開拓した。このうち3255人は政府軍の兵士だった。カダフィ政権の治安部隊のうち約800人も味方に引き入れ、政権打倒後は約5000人の警察官が首都の治安維持の任務に当たる、といった手はずが整えられた。この文書は、国民評議会と英当局などが一緒に作成した。
今年3月、米英仏を中心に対リビア軍事介入に乗り出した際、同時に米英などの情報機関員も東部ベンガジからリビア国内に潜入した。十数人のCIA要員のほか、英国からも対外情報機関MI6要員や陸軍特殊部隊(SAS)隊員もリビア国内にはいり、反政府勢力支援工作を展開してきたと伝えられる。
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