11月初めに開催されたG20の主催国フランスのサルコジ大統領は内外でその手腕をめぐる正念場を迎えている。G20では欧州経済危機への包括策が示され、開催国としてフランスは表向きメンツを保ったようにも見えるが、ユーロ危機の解消、世界金融市場の安定への道のりを楽観視するものはほとんどいない。
一方、すでに6カ月を切った来年4、5月のフランス大統領選挙をにらんだ内政の攻防は激しさを増している。再選を目指すサルコジ大統領は、現職の強みを生かして、大統領としての職務を全うすることこそが最大の選挙キャンペーンであるという立場をとっている。批判を覚悟の上で、年金改革を敢えて今春になって断行し、緊縮策を強調する。実務家大統領のイメージ浸透がその狙いであるが、野党はいち早く大統領候補を決定して攻勢を強めており、愛娘の誕生に喜んだのも束の間、大統領自身としても心中穏やかならざるというところが真相ではないか。
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