サルコジ再選に立ちはだかる社会党候補・オランド

執筆者:渡邊啓貴 2011年11月21日
エリア: ヨーロッパ

 11月初めに開催されたG20の主催国フランスのサルコジ大統領は内外でその手腕をめぐる正念場を迎えている。G20では欧州経済危機への包括策が示され、開催国としてフランスは表向きメンツを保ったようにも見えるが、ユーロ危機の解消、世界金融市場の安定への道のりを楽観視するものはほとんどいない。
 一方、すでに6カ月を切った来年4、5月のフランス大統領選挙をにらんだ内政の攻防は激しさを増している。再選を目指すサルコジ大統領は、現職の強みを生かして、大統領としての職務を全うすることこそが最大の選挙キャンペーンであるという立場をとっている。批判を覚悟の上で、年金改革を敢えて今春になって断行し、緊縮策を強調する。実務家大統領のイメージ浸透がその狙いであるが、野党はいち早く大統領候補を決定して攻勢を強めており、愛娘の誕生に喜んだのも束の間、大統領自身としても心中穏やかならざるというところが真相ではないか。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
渡邊啓貴(わたなべひろたか) 帝京大学法学部教授。東京外国語大学名誉教授。1954年生れ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程・パリ第一大学大学院博士課程修了、パリ高等研究大学院・リヨン高等師範大学校・ボルドー政治学院客員教授、シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員教授、外交専門誌『外交』・仏語誌『Cahiers du Japon』編集委員長、在仏日本大使館広報文化担当公使(2008-10)を経て現在に至る。著書に『ミッテラン時代のフランス』(芦書房)、『フランス現代史』(中公新書)、『ポスト帝国』(駿河台出版社)、『米欧同盟の協調と対立』『ヨーロッパ国際関係史』(ともに有斐閣)『シャルル・ドゴ-ル』(慶應義塾大学出版会)『フランス文化外交戦略に学ぶ』(大修館書店)『現代フランス 「栄光の時代」の終焉 欧州への活路』(岩波書店)など。最新刊に『アメリカとヨーロッパ-揺れる同盟の80年』(中公新書)がある。
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