馬英九が窮地に立たされている。 台湾大学、ハーバードで法律を学び、国民党独裁下で超エリートとして育てられ、順風満帆の政治家人生を歩んできた馬英九にとって、あるいは人生最大のピンチかも知れない。 過去、馬英九は選挙で1度も敗北を喫したことがない。イヤミなぐらい、いつも余裕で対立候補を倒してきた。 1998年の台北市長選で現職の民進党・陳水扁を7万票差で退け、2002年の同市長選でも民進党の李応元を30万票差で一蹴した。 国民党内の主導権を確立する選挙となった05年の党主席選挙では、ベテランの実力者、王金平をダブルスコア以上の大差で退けた。 そして、08年の総統選では過去最高得票率で民進党の謝長廷に圧勝。 「無敗神話」どころか「圧勝神話」である。 2012年1月14日に投開票される総統選挙は、馬英九の政治人生にとって恐らく最後の選挙となるだろう。台湾の総統は2期8年まで。その一点のシミなく輝く政治家人生の締めくくりとなる選挙まで2カ月を切ったいま、馬英九は民進党の女性候補、蔡英文に詰め寄られ、追いつかれ、追い抜かれたという見方さえ出ている。
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