中国共産党の骨格にPeter Principle(ピーターの法則)が宿っているという指摘は新鮮だった。 今秋の第18回共産党大会に向けて、党や国務院の幹部人事についての噂が絶えない。共産主義青年団の出身者は「団派」と呼ばれ、中央と地方の党の組織の中核を担ってきた。こうした直近の歴史を背景に、9人の政治局常務委員を含む25人の共産党中央政治局員のうち、団派は圧倒的な比重を占めるはずと聞かされてきた。中国革命の成立時において高級幹部を構成した人脈に繋がるいわゆる「太子党」から、習近平が総書記に選ばれることはほぼ確実だが、団派を無視したのでは党組織が成り立つはずはないという認識である。 すでに省や特別市の党書記の人事は次々と決まっており、その中には、今秋のトップ層を構成する習近平をはじめとする第5世代のあとを受けて、第6世代と呼ばれる次々期の指導者が団派を代表して配置されている。中国共産党の人材育成システムが完成型を示している――。われわれはこうした説明を受けてきたし、これに疑念を提示するだけの材料もなかった。

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