仏大統領選「国民戦線」支持票はどこへ向かうか

執筆者:渡邊啓貴 2012年4月24日
エリア: ヨーロッパ

 4月22日夜8時、フランス大統領選挙第1回投票の出口調査報告が各局で一斉に流された。オランド社会党候補が28.63%の支持率を得てトップに立ち、サルコジUMP(民衆運動連合)大統領候補は27.18%で2位、追う形となった。この両者で5月6日に第2回目の決戦投票が行なわれる。現役大統領が首位を譲ったのは、1965年に大統領選挙が国民投票2回形式で行なわれるようになって初めてのことである。

 以下、極右・国民戦線(FN)マリーヌ・ルペン候補の得票率が17.9%、元社会党の有力政治家で「左翼党」代表、共産党との共同戦線「左翼戦線」のメランション候補が11.11%、中道派「民主運動」MoDemバイルー候補の9.13%と続いた。立候補者10人のうちの5人が、9%以上の票を獲得したことになる。昨年秋ごろまでは左派の大勢へのキャスティングボートを握るといわれていた環境派「欧州環境・緑」エバ・ジョリ候補は2.31%にとどまった。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
渡邊啓貴(わたなべひろたか) 帝京大学法学部教授。東京外国語大学名誉教授。1954年生れ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程・パリ第一大学大学院博士課程修了、パリ高等研究大学院・リヨン高等師範大学校・ボルドー政治学院客員教授、シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員教授、外交専門誌『外交』・仏語誌『Cahiers du Japon』編集委員長、在仏日本大使館広報文化担当公使(2008-10)を経て現在に至る。著書に『ミッテラン時代のフランス』(芦書房)、『フランス現代史』(中公新書)、『ポスト帝国』(駿河台出版社)、『米欧同盟の協調と対立』『ヨーロッパ国際関係史』(ともに有斐閣)『シャルル・ドゴ-ル』(慶應義塾大学出版会)『フランス文化外交戦略に学ぶ』(大修館書店)『現代フランス 「栄光の時代」の終焉 欧州への活路』(岩波書店)など。最新刊に『アメリカとヨーロッパ-揺れる同盟の80年』(中公新書)がある。
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