ロシアが金正恩政権に接近工作

執筆者:名越健郎 2012年6月18日
エリア: ヨーロッパ アジア

 ロシアがこのところ、北朝鮮の金正恩政権への接近を図っている。両国関係は金正日総書記の死後、凍結気味だったが、接近工作はプーチン政権のアジア太平洋外交活発化の一環とみられる。

 6月15日のタス通信によれば、ロシア非常事態省は大干ばつに見舞われている北朝鮮に対し、小麦672トンを提供した。国連世界食糧計画(WFP)の支援計画の一環で、今後も食糧支援を継続するという。米国が北朝鮮のミサイル発射で栄養食品提供を中止しており、肩代わりする狙いがあるようだ。

 ロシアは昨年夏、北朝鮮に小麦5万トンを提供。久々の食糧支援が8月末の故金正日労働党総書記の訪露につながった。今後、金正恩政権との関係構築を図る布石とみられる。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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