「予告された勝利」に終わったメキシコ大統領選挙――12年ぶりの政権交代へ

執筆者:遅野井茂雄 2012年7月17日
エリア: 中南米

 7月1日に行なわれたメキシコの大統領選挙は、事前の予想通り、中道PRI(制度的革命党)のペニャ・ニエト前メキシコ州知事が得票率38%で勝利を収めた。32%で2位に着けた中道左派PRD(民主革命党)のオブラドル候補は12日、「有権者500万人に票の買収があった」として、前回同様、連邦選挙裁判所に選挙の無効を訴えたが、330万票と票差は歴然としておりPRIの勝利は揺るがない。メキシコ革命の後、71年間にわたり1党支配体制を築き、2000年に政権を明け渡したPRIが、12月1日の新政権の発足で政権を奪還することになる。

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄(おそのいしげお) 筑波大学名誉教授。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より筑波大学大学院教授、人文社会系長、2018年4月より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『試練のフジモリ大統領―現代ペルー危機をどう捉えるか』(日本放送出版協会、共著)、『現代ペルーとフジモリ政権 (アジアを見る眼)』(アジア経済研究所)、『ラテンアメリカ世界を生きる』(新評論、共著)、『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(アジア経済研究所、編著)、『現代アンデス諸国の政治変動』(明石書店、共著)など。
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