第2期オバマ政権で存在感を増す「バイデン副大統領」

執筆者:足立正彦 2013年1月21日
エリア: 北米

 1月20日、ジョゼフ・バイデン副大統領が第2期オバマ政権での副大統領就任の宣誓式を終え、今後4年間引き続き副大統領としての職務を担うこととなった。第112議会のレイムダック会期の最終局面での「財政の崖」回避問題を巡る与野党合意や、オバマ大統領が今月16日に公表した銃規制強化案についてオバマ政権で中心となって取りまとめを行なったのもバイデン副大統領であった。

「財政の崖」回避問題では、ジョン・ベイナー下院議長(共和党、オハイオ州第8区)やハリー・リード民主党上院院内総務(ネヴァダ州)が提示した妥協案について合意できず、膠着状態に陥っていた。土壇場で与野党合意に辿り着けたきっかけとなったのは、バイデン副大統領とミッチ・マコーネル共和党上院院内総務(ケンタッキー州)の2人が事実上取りまとめた上院法案であった。連邦政府の法定債務上限引き上げ問題を巡る昨年の与野党協議でも、真剣な協議が行なわれた場がバイデン副大統領率いる「バイデン・グループ」であったことは記憶に新しい。また、銃規制強化案の策定プロセスでもバイデン副大統領をヘッドとするタスクフォースが設置され、合衆国憲法修正第2条を盾に銃規制強化に強く反発している全米ライフル協会(NRA)のデヴィッド・キ-ン会長(アメリカ保守同盟(ACU)前会長)をはじめとする200以上もの団体の関係者とバイデン副大統領らは協議を重ねている。

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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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