パリ市長を争う2人の女性

執筆者:国末憲人 2013年6月18日
エリア: ヨーロッパ

 来年3月のフランス統一地方選に向けて、事実上の選挙戦が始まった。オランド政権が昨年5月の発足後初めて迎える大型選挙で、今後の政権の安定性を決める正念場だといえる。中でも注目を集めるのは、首都パリの市長の座を左右どちらが射止めるか。パリは、12年間にわたって市政を担ってきた左派が様々な実験的政策を展開してきた自治体であり、その是非を問うことは、フランスの今後の方向性を定めることにもつながっている。

 その市長の候補として、社会党を中心とする左派も、右派「国民運動連合」(UMP)も、女性を立ててきた。左派の候補は、アンヌ・イダルゴ現市第1助役(54)。右派の候補はナタリー・コシウスコ=モリゼ元環境相(40)だ。どちらが勝とうとも、初の女性パリ市長の誕生となる。「女の戦い」と、メディアは早くも盛り上がっている。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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