【ブックハンティング】現代アメリカを重ねて読むローマ帝国衰亡の物語

執筆者:会田弘継 2005年3月号

 一月二十日。米連邦議会議事堂の正面で行なわれたブッシュ米大統領の二期目就任式を、屋外の演壇のすぐ真下から見た。前日、ワシントンに今冬初めて雪を積もらせた雲は去り、雄壮な議事堂の上の空は青く晴れ上がった。式典を見上げながら、読み始めた塩野七生さんの新著である本書『最後の努力―ローマ人の物語13』の一節を思い出した。「皇帝になるには何よりもまず、元老院の承認と市民たちの同意が必要だった。新皇帝は…元老院で就任の演説をし、その後で元老院の議場の近くにあるロストラと通称された演壇の上に立ち、市民たちに就任の挨拶をする。…カピトリーノの丘に登り、神殿に参って神々の援助を乞う」

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
会田弘継(あいだひろつぐ) 関西大学客員教授、ジャーナリスト。1951年生まれ。東京外語大英米語科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを務め、現在は共同通信客員論税委員、関西大学客員教授。近著に『世界の知性が語る「特別な日本』』 (新潮新書)『破綻するアメリカ』(岩波現代全書)、『トランプ現象とアメリカ保守思想』(左右社)、『増補改訂版 追跡・アメリカの思想家たち』(中公文庫)など。訳書にフランシス・フクヤマ著『政治の衰退』(講談社)など。
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