北朝鮮「先軍」掲げながら「先党」(下)「平和的環境」づくりへ対話攻勢か

執筆者:平井久志 2013年9月6日
エリア: アジア

 韓国紙、東亞日報は8月22日、北朝鮮が2012年9月に改定した「戦時事業細則」の要約文を入手したと報じた。また、聯合ニュースも同日、対北消息筋の話として、同細則の変更を報じた。北朝鮮は2004年4月に「戦時事業細則」を制定したが、金正恩(キム・ジョンウン)政権が発足した後の昨年9月、8年ぶりに改定したという。これは金正恩体制下での戦時体制運営を示すものだ。

 最大の注目点は戦時事業総括指導機関を「国防委員会」から「党中央軍事委員会」に変更したことだ。これは金正恩時代が「軍」中心から「党」中心へと転換されたことを反映したものといえる。

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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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