家族が巣立った後、部屋数に余裕がある1人暮らしのお年寄りと、家賃が高いために大学の近くに住むところが見つからない学生。この両者のニーズをうまくマッチングさせた「異世代ホームシェア」という新しい形態が、高齢化社会への対応を迫られるヨーロッパで着実に根を下ろし始めている。
「記録的猛暑」がきっかけ
血のつながりのない高齢者と若者が1つ屋根の下に暮らすという、新しい共生の在り方が普及したのは、この10年ほどのことだ。きっかけは2003年に襲った記録的な猛暑。40度近い気温の日が3週間近く続き、特にフランスでは1万人以上の犠牲者を出し、その多くが1人で暮らすお年寄りだった。ヨーロッパの夏は比較的涼しく、冷房や扇風機が必要ではないために、多くの高齢者が熱中症になっても異変に気づかなかったという社会の死角が浮き彫りになった。

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