フランスのベルナール・ド・モンフェラン駐日大使(六〇)が一月四日、三年余の任期を終え離任した。しかし成田空港から大使が向かったのはパリではなくウラジオストクだった。シベリア鉄道でパリに戻ろうというのである。 この遠回りの帰任には理由がある。二〇〇五年末、大使とインタビューした際、大使は私にこう語った。「シベリア鉄道の旅は幼いときからの夢でね。妻はそんな長旅はいやだというので気楽な一人旅だ。本をしっかり買い込んだから、これを読みながらのんびり帰るよ」。モスクワからは空路だが、それでもモスクワまで六日半の旅だ。

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