いちどは断念した買収構想に、いま再び取り組むのはなぜか。背景には挫折した日本戦略の立て直しがある。「シティバンクが日本で銀行を物色している」 最近の銀行界で耳をそばだてれば「シティの動き」が頻繁に聞こえてくる。現に筆者も、複数の銀行関係者から「シティバンク在日支店の人間から“相談”を持ちかけられた」との証言を得ている。 相談内容は、「地銀、第二地銀の経営状態を表面的ではなく、裏情報を含めて教えて欲しい」とか、「○○銀行の経営内容を詳細に教えて欲しい」というものだ。 銀行関係者からは「シティの人間は、冗談話のように『買収するなら三井住友クラス』と話している」という話も聞こえてくる。たしかにそれは冗談だろう。メガバンクを買収するのが不可能というわけではないが、規模が大きいため、キャッシュではなく株式交換などの手法によるしかない。ところが、日本ではその方法はまだ認められていないからだ。この“冗談話”で注目すべきは、シティ関係者が、いちどは断念したはずの「買収」をいま再び口にし、しかもメガを名指しできるほど“懐の余裕”を感じさせることだ。
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