10月下旬、日本経済新聞は「政府・与党は富裕層の税逃れ対策を強化する検討に入った」と報じた。具体的には、「1億円を超える金融資産を持つ富裕層が海外に移住する場合は株式などの含み益に所得税を課税する」ことを検討、自民党の税制調査会が年内にまとめる2015年度の税制改正大綱に盛り込み、同年度からの実施を目指すという。
課税強化と言っているが、実際には、海外移住を阻止するのが狙いであることは明らかだ。この10年ほど、多額の資産を保有する富裕層がシンガポールや香港、スイスなどに移住するケースが相次いでいた。日本政府が資産課税を強化する動きを敏感に感じた大金持ちが、自らの資産を守るために海外に資産を逃がしてきたのだ。いわゆる「キャピタル・フライト(資本逃避)」である。それを何とか食い止めようというのだ。
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