「世襲」に向かうムバラク父子の“反米ポーズ”

執筆者:柳沢亨之 2006年11月号
エリア: 中東

「強み」だったはずの米国との密接な関係が、いまやアラブ大衆からの猛反発の原因に。高齢・健康不安の大統領の選択は――。[カイロ発]米国が頼りにする穏健アラブ諸国の雄エジプトで、二十五年の長期政権を率いてきたホスニ・ムバラク大統領(七八)から、二男で与党幹部のガマル・ムバラク氏(四三)への権力“禅譲”の可能性がまことしやかに語られ始めた。だがムバラク大統領が、反米イスラム主義勢力の域内台頭など数々の難局を「世襲」という非常手段で強行突破できるかどうかは、極めて不透明だ。 世襲説は、九月十九―二十一日の支配政党「国民民主党」(党首・ムバラク大統領)年次党大会で一気に現実味を帯びた。大会初日にガマル氏が約一時間の演説をぶったからだ。

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