西アフリカの風土病・エボラ出血熱(エボラウイルスによる全身性の急性熱性伝染病)が、世界を震撼させている。体内で血栓が生まれ、血流が滞り、複数の場所から出血する。伝染力が強く、致死率の高い恐ろしい病気だ。2014年8月には、WHO(世界保健機関)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言している。
なぜ今、エボラ出血熱なのだろう。人類の歴史は、病気との闘いでもあった。時代の節目には、必ずといってよいほど、疫病が蔓延したのだ。とすれば、現代は人類にとって大きな転換期なのだろうか。
縄文後期の謎の人口減
病理史学者の立川昭二氏は『病気の社会史』(岩波現代文庫)の中で、文明が病気をつくり、文明の交流が病気をもたらすと言い、さらに、病気そのものに、「歴史的性格」があると指摘している。たしかに古代日本でも、病気と歴史は、深く関わりをもっていた。
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