国際人のための日本古代史 (56)

「疫病」がもたらす歴史の転換

執筆者:関裕二 2014年11月11日
タグ: 日本
エリア: アジア

 西アフリカの風土病・エボラ出血熱(エボラウイルスによる全身性の急性熱性伝染病)が、世界を震撼させている。体内で血栓が生まれ、血流が滞り、複数の場所から出血する。伝染力が強く、致死率の高い恐ろしい病気だ。2014年8月には、WHO(世界保健機関)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言している。

 なぜ今、エボラ出血熱なのだろう。人類の歴史は、病気との闘いでもあった。時代の節目には、必ずといってよいほど、疫病が蔓延したのだ。とすれば、現代は人類にとって大きな転換期なのだろうか。

 

縄文後期の謎の人口減

 病理史学者の立川昭二氏は『病気の社会史』(岩波現代文庫)の中で、文明が病気をつくり、文明の交流が病気をもたらすと言い、さらに、病気そのものに、「歴史的性格」があると指摘している。たしかに古代日本でも、病気と歴史は、深く関わりをもっていた。

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執筆者プロフィール
関裕二(せきゆうじ) 1959年千葉県生れ。仏教美術に魅せられ日本古代史を研究。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。著書に『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』、『「死の国」熊野と巡礼の道 古代史謎解き紀行』『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行』『「大乱の都」京都争奪 古代史謎解き紀行』『神武天皇 vs. 卑弥呼 ヤマト建国を推理する』など多数。最新刊は『古代史の正体 縄文から平安まで』。
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