最高権威にもなすすべないイラクの絶望

執筆者:出井康博 2007年1月号
タグ: イラン シリア
エリア: 中東

イラク・シーア派の最高権威シスターニ師からの書面回答、そしてイラク人の肉声に、絶望的な現状を探る。[アンマン発]〈マリキ政権は治安回復のために良好な努力を払っている。しかしながら、政治過程に参加した者及び不参加だった者など様々なイラク人が、暴力を否定し、相違の解決のために平和的対話を採用するとの明確な決定をしなければ、マリキ政権に平和回復のための顕著な進展は成し遂げられない〉 イラクで過半数を占めるシーア派の最高権威、アリ・シスターニ師は慎重に言葉を選びながらも、マリキ政権の限界を示唆する。メディアとの会見を一切拒否している同師が、書面という形であれ、自らの思いを披瀝するのは極めて異例のことだ。

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執筆者プロフィール
出井康博(いでいやすひろ) 1965年、岡山県生れ。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『日経ウィークリー』記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)を経てフリーに。著書に、本サイト連載を大幅加筆した『ルポ ニッポン絶望工場」(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『松下政経塾とは何か』(新潮新書)など。最新刊は『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)
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