80時間世界一周
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アラビア海の主役「ダウ船」を容赦なく狙う海賊の脅威
三角帆をたたんだ一隻の木造帆船「ダウ」が、ゆっくりとアラビア湾から入港してきた。ここはアラブ首長国連邦の国際貿易都市ドバイ。意表をつくデザインの高層ビルが林立する旧市街の真ん中に、昔ながらのダウ船が出入りする港がある。英国系インターコンチネンタルホテルの真正面なので、迷うことはない。現代と中世が同居する何とも不思議な都市、それがドバイだ。貴金属店が並ぶゴールド・スーク(市場)に近接して、ドバイ・クリーク(運河)が市内を分断する。 このクリークを眺めていると、ダウ船を通じて日用雑貨や貴金属、ナツメヤシや香辛料、電気製品からオートバイ、さらに小型自動車にいたるまで、ありとあらゆるモノの交易がなされているのがわかる。最近では「ダウ」のかわりに「サンブーク」という呼称が一般的だという。

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