東日本大震災の被災地は、間もなく5度目の3月11日を迎える。宮城、岩手両県の沿岸では、あの日壊滅した町々の再建に向けた大規模なかさ上げ(土盛り)工事が進められ、被災者が仮設住宅から高台の造成地へ移り住む動きも、ようやく本格化し始める。まだ見渡す限り土色の風景の中で3月21日、宮城県女川町はJR線と駅舎の復旧・再開を機に「まちびらき」を行い、「復興」を宣言する。しかし、その歩みは津波の記憶をも赤土の下に埋めていく。女川町でわが子を津波に奪われ、この4年間、「なぜ、死なねばならなかったか?」と問い続けてきた声がある。「語り部」ともなった夫婦の声を紹介する。

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