実にお粗末なシステムを作ったものだ。医療費を圧縮する仕組みはなく、公的医療保険制度の崩壊を早めるだけ……。 四月一日、全国に約千三百万人いる七十五歳以上の高齢者が加入する「後期高齢者医療制度」がスタートした。「ネーミングがよくない」という福田康夫首相の意見を受け、厚生労働省は制度スタート当日に「長寿医療制度」との通称を用いることにしたが、看板を掛け替えたところで中身が変わるわけではない。この制度が設けられたのはお年寄りの長寿を祝うためではなく、破綻寸前の公的医療保険制度の維持に向け、高齢者にも「応分の」負担を求めることに目的がある。

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