ブックハンティング・クラシックス (46)

世界経済が揺らぐ今こそ読むべきアダム・スミスの「もう一つの遺産」

執筆者:堂目卓生 2009年1月号

『道徳感情論 The Theory of Moral Sentiments』アダム・スミス著Liberty Fund 1982年刊(原書は1759年刊。邦訳には米林富男訳と水田洋訳がある) 二〇〇八年は、サブプライム問題を発端とした金融危機が世界経済に大きな打撃を与え、市場経済に対する私たちの信頼を揺るがせた歴史に残る年であったといえよう。今なお不安定な動きを続ける金融市場を国際協調体制によってどのように管理すべきか、そして深刻さを増す世界的な不況に対して各国はどのような対策をとるべきかは、二〇〇九年に残された重要課題である。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
堂目卓生(どうめたくお) 大阪大学大学院教授。1959年生れ。京都大学大学院博士課程修了(経済学博士)。18世紀および19世紀のイギリスの経済学を専門とし、経済学の思想的・人間学的基礎を研究。おもに英語圏の学術誌で論文を発表してきた。著書『アダム・スミス――「道徳感情論」と「国富論」の世界』(中公新書)でサントリー学芸賞受賞。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top