「経費不正請求」が招いた英国政治の激震

執筆者:マイケル・ビンヨン 2009年7月号
タグ: イギリス
エリア: ヨーロッパ

選良たちからの「請求」の中身は、有料ポルノの視聴代から買い物のタクシー代まで。英国の政治不信は、ここに極まった。[ロンドン発]英国政界が崩壊の連鎖に陥っている。一人また一人と閣僚が辞任し、労働党は分裂状態。ゴードン・ブラウンは必死に首相の座にしがみついているものの、もう長くはもつまいというのが大方の見方だ。一九九〇年、人頭税導入が世論の反発を招いてマーガレット・サッチャー首相が退陣に追い込まれた時以来の最大の危機に、イギリスは騒然とした空気に包まれている。 百人を超す下院議員が自宅改装や高級品の購入などで途方もない額の経費を不正請求していたことはメディアの暴露で広く知られ、政界を揺るがす一大スキャンダルへと発展、閣僚六人と政務次官四人が相次いで辞任し、数十人もの議員が罷免されるという異例の事態となった。

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