八月三十日の衆議院総選挙において、半世紀以上にわたって第一党であり続けた自民党は民主党にその地位を譲り、下野した。その後の日本の政治的意思決定は、あたかも「無血革命」が起きたかのような根底的な変化の様相を呈している。「政治主導」の名のもとに、自民党政府時代の行政慣行が根底的な見直しを受けるに至っているからである。二十一世紀における日本の議会はいかなる役回りを果すのか。金融機関に対する政府の関与ひとつだけをとってみても、極めて興味深い政治過程が展開しつつある。 市民革命を通じて議会の役割を一つひとつ明瞭化してきた英国では、「男を女に、また女を男に変える以外、議会は何でもできる」という言い方があるように、国民代表による議決は至高なるものだ。それでは政府は、契約の自由という私的自治の領域にどこまで介入することができるのか。民主党政権のもとでこれが本格的に問われるのが二〇〇九年から一〇年にかけてであり、日本社会の新しい形質に繋がる。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン