これを究極の選択というのだろうか。菅直人首相と小沢一郎前幹事長の間で戦われる民主党代表選。どちらを選んでも日本経済に待ち受けるのは、自己破壊への道のように思える。 小沢氏が代表選出馬を表明した8月26日、債券市場に激震が走った。前日の25日、日本経済のデフレ・リスクを織り込む形で、一時0.9%をも下回っていた新発10年物国債の利回り(長期金利)が急反発したのだ。2009年の総選挙でのマニフェスト(政権公約)の断行を訴える小沢氏は、財政のバラマキに走る。そう考えて身構えたのだ。 市場独特の嗅覚は当たったというべきだろう。案の定、小沢氏から飛び出したのは、大盤振る舞いの話ばかり。子ども手当の満額実施、高速道路無料化、農家への戸別所得補償などマニフェストの重点項目に始まり、地方への高速道路建設を打ち上げ、早急に2兆円の景気対策をと訴える。 何事によらず勝ち馬に乗る株式市場には一時、小沢待望論が巻き起こった。菅政権は円高、株安に拱手傍観するだけだった。それなら、多少リスクはあっても、何かをやる小沢政権に賭けてみたい。そんな投資家心理が働いたとみて間違いない。
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