一九三〇年代、大恐慌後のデトロイトの街に一人の日本人が現れた。その名は中根中。貧困と差別に苦しむ黒人たちの「カリスマ的指導者」となった彼は、黒人を組織し、日本の味方に付けようと企んだ――。知られざる現代史に光をあてる。
移民国家の米国にあって、「もう一つのアメリカ」と称される黒人社会。主流を占める白人社会とは異質な文化を維持してきた一方で、経済的にはヒスパニックやアジア系など後発の移民に追い抜かれ、貧困や犯罪といった問題に最も苦しんでいる。
この黒人社会には、白人社会との関係を巡り今も二つの流れが存在する。マーチン・ルーサー・キング牧師に代表される、白人と協力して人種平等を目指す人種融合派と、かつてマルコムXが唱えたように、黒人だけの国を建設しようという人種隔離派である。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン