東大時代ハンドボール部の選手だったがゴルフの腕はいま一つで、程ヶ谷カントリー倶楽部のハンディキャップは20台後半のままである。ことしに入って福井俊彦の姿を見かけることが多くなったと程ヶ谷のメンバーはいう。 寡黙なゴルフは楽しみというよりも修行のようでさえある。一緒に回るだれもが、この人物が第二十九代日本銀行総裁の本命と言われる人物であることを知っている。知っているからこそ、話題にすることはない。むしろ、意識的にその話題を避けることが、紳士のスポーツであるゴルフと程ヶ谷という名門コースにふさわしいとみな感じていた。
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