医薬品化学者(メディシナル・ケミスト)の赤間勉(三九)=工学博士=は、協和発酵を退社して二〇〇一年八月に渡米したとき「米国に永住する決意」を固めていた。日本という国は、大組織に属している間はよいが、いったん外に出てしまうと、あとは急につぶしがきかなくなる。特に四十歳を過ぎると、新しいエキサイティングな職場に移れる可能性はものすごく小さい。英語にも不慣れで留学経験もない自分の米国におけるハンディを勘案しても「仮に何かあったとき、日本に帰るよりも、米国でやっていくほうがずいぶん簡単なのではないか」と直感していたからだ。

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