首都停電どころではない「原子力政策の危機」

執筆者:五十嵐卓 2003年7月号
エリア: アジア

原発トラブル隠しに続く余震は、民間が「公益」を担う矛盾を暗示している。時代遅れの電力体制の改革が不可欠だ。 日本経団連会長はじめ財界リーダーが輩出し、日本の産業界に君臨して来た東京電力がもがき苦しんでいる。昨年八月末に発覚した原子力発電所のトラブル隠し、検査不正事件で保有する原発が運転停止を余儀なくされ、七、八月には首都圏で停電が起きる可能性が次第に高まっているからだ。四月十五日には福島第一、第二、柏崎刈羽(新潟県)原発の合計十七基すべてが停止するという前代未聞の事態に陥った。その後、安全性に問題がないと認定された柏崎刈羽六号機が運転を再開したが、電力需要期に入る七月までに何基が運転を再開できるかは不透明なままだ。

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