【フォーサイトレポート】 松下政経塾の研究(上)

執筆者:出井康博 2004年1月号
タグ: 中国 日本
エリア: アジア

国会議員二十八人、知事一人、その他首長四人。創設から二十四年、松下政経塾出身者はいまや政界の一大勢力となった。彼らはいま何を考えているのか。そして、政経塾自体はどこに向かおうとしているのか。二回にわたってレポートする。「岡山一区に素晴らしい人をありがとうございました」 自民党衆議院議員・逢沢一郎(松下政経塾一期・49歳)がボソッと言ったひとことに、対面に座った民主党・島聡(二期・45)が恐縮する。その様子に、周囲の国会議員から一斉に笑いが起きた。 衆議院選挙から半月が経った十一月二十六日、衆院第一議員会館内で開かれた松下政経塾出身議員の集まり「未来政治研究会」(未来研)。その会の冒頭、民主党総務局長(当時)として衆院選の候補者選定に当たった島が挨拶を始めたとき、塾の先輩である逢沢が冗談まじりに突っ込んだのだ。外務副大臣を務める逢沢は、今回の選挙で民主党代表・菅直人の長男、源太郎を大差で破って六回目の当選を決めていた。

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執筆者プロフィール
出井康博(いでいやすひろ) 1965年、岡山県生れ。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『日経ウィークリー』記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)を経てフリーに。著書に、本サイト連載を大幅加筆した『ルポ ニッポン絶望工場」(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『松下政経塾とは何か』(新潮新書)など。最新刊は『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)
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