東京新聞の「わが街わが友」という東京を題材とした名物連載で、生粋の江戸っ子であるNECの高山由顧問を紹介したことがある。パソコンの黎明期に市場を席捲したPC98シリーズの生みの親と呼ばれ、向かうところ敵なしの状況を作り出した人である。 記事ではパソコンのことではなく、「ひ」と「し」の発音の区別がつかなくともNECの専務として活躍できたが、下町のお好み焼き屋で飲んでいると、つい江戸っ子の小学生に戻ってしまうという話をした。 しばらくして、高山さんからお手紙を頂戴した。 数十年ものあいだ仕事一筋に突っ走ってきたが、やっと一段落つき、今では奥様同伴で月に二千キロ以上もドライブ旅行を楽しんでいるとのこと。黒塗りハイヤーでは味わえない自由を満喫している様子にご同慶の至り。

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