国会議事堂の前庭に植えられた梅の木が紅白に彩られる三月初旬は、来年度予算案をめぐる与野党攻防で国会が最も緊迫する季節である。予算案の年度内成立を目指し一日でも早く衆院通過を図ろうとする与党と、徹底審議を求めこれに抵抗する野党が火花を散らすのが例年の光景だ。昨年も大島理森農相(当時)の元秘書の政治資金流用疑惑などをめぐり野党側が衆院本会議開会に反対し、衆院通過が一日ずれ込む攻防劇があった。だが、今年は違った。ベタ凪国会。与野党の衝突音どころか摩擦音も響かなかった。 野党に政府、与党を追及する材料がなかったわけではない。日本歯科医師連盟(日歯連)のヤミ献金疑惑や北海道警や静岡県警の裏金づくり問題など、むしろ材料はありすぎるくらいだった。それが尻すぼみに終わった最大の理由は、追及する材料より追及される材料の方が多いという情けない現実だった。すべて民主党絡みのスキャンダル。攻防の先頭に立つべき野党第一党が逆襲を恐れ、腰を上げようにも上げられなかったのである。
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