なぜ英タイムズ紙「雅子妃報道」が放置されたのか

執筆者:大野ゆり子 2004年8月号
タグ: 日本
エリア: アジア

抗議しなければ、欧州では事実と認めたことになる。“噂”をもとに書かれた記事に、何も手を打たなくていいのだろうか。[ブリュッセル発]昨年、久し振りにゆっくりと雅子妃殿下にお目にかかったのは、一週間だけ日本に戻った時である。急な帰国であり、ご公務で忙しい週と伺っていたので、お目にかかるのは諦めていた。ところが「二日後の午前中なら何とかご公務をやりくりして時間が取れると妃殿下がおっしゃっておられます」という返事をいただき、東宮御所に伺った。 小学、中学、高校で計五年間ともに学んだ田園調布雙葉学園時代の思い出話や音楽の話、貧困や戦争の犠牲となっている子供たちへのボランティアの話などを、二人きりでゆっくりさせていただくうちに、妃殿下が「ちょっと待っていて下さる?」とおっしゃって奥の部屋に行かれた。再びドアが開くと、お昼寝から目覚めたばかりの、まだちょっと眠たそうな愛子様と手をつないで、妃殿下が輝くような笑顔で戻っていらした。突然の訪問者に気づいて、愛子様は一瞬、ママのスカートの後ろに隠れてしまったが、そのうちニコッと笑って、ちょこちょことこちらに寄って来られた。そして部屋にあった鴨の置物を小さな手で、ハイどうぞと手渡してくださる。「どうもありがとう」と申しあげて、しばらく楽しく鴨で遊んで時が過ぎた。

カテゴリ: IT・メディア 社会
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執筆者プロフィール
大野ゆり子(おおのゆりこ) エッセイスト。上智大学卒業。独カールスルーエ大学で修士号取得(美術史、ドイツ現代史)。読売新聞記者、新潮社編集者として「フォーサイト」創刊に立ち会ったのち、指揮者大野和士氏と結婚。クロアチア、イタリア、ドイツ、ベルギー、フランスの各国で生活し、現在、ブリュッセルとバルセロナに拠点を置く。
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