国際人のための日本古代史 (30)

「日本」と「渡来人」の関係

執筆者:関裕二 2012年9月19日
タグ: 日本
エリア: アジア

『古事記』編纂1300年の今年、各地で数々のイベントが開かれている。江戸時代の国学者たちが、「『古事記』神話こそ、日本人の心の故郷だ」と称え始めて以来、『古事記』は「神典」となって、人々に親しまれることとなった。
 しかし、腑に落ちないことがある。神話に登場する神々の人気が低いのだ。それよりも、渡来系豪族・秦氏が祀っていた稲荷社や八幡社が、全国の神社の過半数を占めている。神話に登場する天照大神や天津彦彦火瓊瓊杵尊(あまつひこひこほのににぎのみこと)、彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)といった天皇家の祖神を祀る神社を数の上で圧倒している。ここに大きな謎が横たわる。『古事記』の神話は、本当に日本人の原風景なのだろうか。

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執筆者プロフィール
関裕二(せきゆうじ) 1959年千葉県生れ。仏教美術に魅せられ日本古代史を研究。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。著書に『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』、『「死の国」熊野と巡礼の道 古代史謎解き紀行』『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行』『「大乱の都」京都争奪 古代史謎解き紀行』『神武天皇 vs. 卑弥呼 ヤマト建国を推理する』など多数。最新刊は『古代史の正体 縄文から平安まで』。
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