饗宴外交の舞台裏 (178)

退位表明直前のローマ法王が神学生たちと共にした夕食会

執筆者:西川恵 2013年3月13日
カテゴリ: 経済・ビジネス
エリア: ヨーロッパ
 神学校で食事をしたベネディクト16世(谷口神父提供)
神学校で食事をしたベネディクト16世(谷口神父提供)

 ローマ法王は身内としか食事を共にしない。身内とはバチカン(ローマ法王庁)の枢機卿、教会の神父、神学生といったカトリックの関係者である。毎年、数多くの国の首脳が拝謁に訪れ、新任の大使が信任状を奉呈するが、法王がそのために饗宴を開くことはない。

 また逆に法王が外国を公式訪問しても、その国の首脳主催の歓迎式典でシャンパンのグラスを手にすることはあれ、食事のもてなしを受けることはない。世俗世界の人とはテーブルを囲まないのが法王の鉄則だ。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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