「アラブ連合軍」構想でサウジが米国を牽制
シリア化学兵器管理をめぐって9月14日にジュネーブで結ばれた米・ロの合意に対して、サウジアラビアやイスラエルなど、米国の中東における同盟国は、「切り捨てられた」と危惧の念を高めかねない。合意の内容がもし本当に実施されればそれぞれに一定の利益を得られるものの、内戦の状況下でアサド政権の化学兵器を廃棄していくというのは、現実性が乏しい案と言わざるをえない。実際にシリアに化学兵器を廃棄させることよりも、化学兵器管理をめぐって米・ロが合意することそのものに、超大国双方が利益を見出したという性質が色濃い。域外大国間の外交の前進は、地域大国の外交の敗北でもありうる。

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