【ブックハンティング】冷戦を終結させた「敏腕刑事とダメ刑事」のコンビ

執筆者:吉崎達彦 2014年4月5日
エリア: ヨーロッパ 北米
 『レーガンとサッチャー―新自由主義のリーダーシップ―』
『レーガンとサッチャー―新自由主義のリーダーシップ―』

ニコラス・ワプショット/著 
新潮社

 ロナルド・レーガン米大統領とマーガレット・サッチャー英首相は、いかにして権力の座に登りつめ、国際政治の舞台に立ち、どんな風に交流していたのか。ある程度は「知ってるつもり」でいた評者は、本書を読み進めて意外な「発見」があるたびにページに折り目をつけてみたところ、最後は見苦しいほど折り目だらけの本になってしまった。

 2人の最初の出会いは1975年4月9日であった。既に共和党の有力大統領候補者であったレーガン元カリフォルニア州知事は、外交の経験値を稼ぐべく「写真撮影」の機会を求めて欧州を歴訪していた。キャラハン英外相が多忙を理由に表敬会見をパスした日の午後、レーガンは野党・保守党の党首になったばかりのサッチャーと出会う。2人は意気投合し、45分間の予定だった会見は2時間に延びる。保守的な価値観と反共産主義を共有する2人の友情の始まりである。

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執筆者プロフィール
吉崎達彦(よしざきたつひこ) 双日総合研究所チーフエコノミスト。1960年(昭和35年)富山市生まれ。一橋大学社会学部卒業後、1984年日商岩井(現双日)に入社。米国ブルッキングス研究所客員研究員、経済同友会調査役などを経て現職。新聞・経済誌・週刊誌等への執筆の他、「サンデープロジェクト」等TVでも活躍。また、自身のホームページ「溜池通信」では、アメリカを中心に世界の政治経済について鋭く分析したレポートを配信中。著書に『溜池通信 いかにもこれが経済』(日本経済新聞出版社)、『1985年』(新潮新書)など、共著に『ヤバい日本経済』(東洋経済新報社)がある。
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