小泉首相より一足早く「総理の座」を降りる奧田氏。だが、その“存在感”は、余生を語るにはまだ強すぎる。いったい何をするおつもり? 毎週月曜日朝の東京駅、東海道新幹線のプラットホーム。出張支度で往来するサラリーマンに紛れて、のぞみ号のグリーン車から、少し背中を丸めた巨体を揺らしながら一人の男が降り立つ。警視庁のSP(警護官)二人と秘書に囲まれコンコースを丸の内側まで進むと、赤れんがの駅舎を背景にトヨタ・センチュリーが男の到着を待っている。後部座席にどっしりと腰を下ろした男は数百メートル離れた大手町の経団連会館へ。車は会館地下の車寄せに滑り込み、トヨタ自動車会長の奥田碩は、“財界総理”としての多忙な一週間をスタートさせる。

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